では「本物」の対極は「偽物」となるが、その人に言わせるとそれはオスマンのパリ大改造の後のパリだというのだ。
街路は拡張延長され、ロンドンに暮らしたことのあるナポレオン三世の肝いりで、ロンドンの公園を模した公園を作り出し、貧民芸人が住んでいたところは、追い払われてまた道ができる。道が広くなれば軍隊や警察が動きやすくなる。そうすれば犯罪も減るはずだ、と言う治安対策。さらには産業の振興に走るナポレオン三世は、度重なる万国博を催し、世界中からと産物が集まる、と言った世界が出現する。
近代に行けばどんどん人間臭さが無くなる、としたもので、これを一概に「偽物」とは言えない。ただ、新たな時代に入った、ということに過ぎないと思うのだ。